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学校/教育/学習 ひょうご環境体験館 2009年12月02日


【プレスリリース概要】
大学院教育学研究科寺澤研究室では、最新のテスト技術(マイクロステップ計測技術)を導入したDS用英単語学習ソフトで、わずかな学習の効果が長期にわたり確実に積み重なっていく様子を科学的に描き出すことを世界に先駆けて実現してきました。
 その研究の基盤となっている潜在記憶研究で、人間の驚くべき記憶能力が明らかになってきました。すなわち、わずかに注意を向けて見たり聴いたりした意味のない感覚情報を、人間は、少なくとも数ヶ月単位で蓄えているという新事実です。
 世界でも報告のない新事実ですが、それを確実に、またあからさまに検証できる集団実験を公開します。その説明会を下記のとおり開催します。
 

【プレスリリース内容】
実験の概要(具体的な手続きは実験のため非公開にしてください) 人間が意味のない感覚的な情報を長期に保持していることを示す、典型的な集団実験が可能になりました。具体的には、4秒程度の全く意味のないメロディーを大学生が聴きます。それから2,3ヵ月後、聴いたメロディーと聴いていないメロディーを用いて、ある課題をしてもらいます。その反応データを各自で集計してもらい、聴いたメロディーと聴いていないメロディーでその結果を比較すると、想像以上に大きな違いが出てきます。実験で、結果に基づいて実験参加者に起立してもらった場合、約8割の学生が一定の反応を示し一斉に起立着席します。つまり、2,3ヵ月前にわずかに聴いた意味のないメロディーによって、人間の行動が変わることを明確にデモできます。信じがたい事実で、「鳥肌が立つ(学生の感想)」事実ですが、理論的に予測された事実です。

インパクト:例えば、以下のような視点を提供します。
◆映画「レインマン」で有名となった自閉症の方の驚異的な記憶能力は、そもそも誰もが持っている能力であるといえます。健常者がそれを発揮できないしくみが、自閉症の方には機能していないと考えるべきです。
◆この結果によれば、注意を向けた瞬間に感覚情報が脳内に蓄積されると考えざるを得ないことになります。毎日私たちは膨大な感覚情報を受け取っています。それらの情報を数ヶ月単位で蓄えるとすれば、信じられないほど膨大な情報を、私たちが有限のニューロンで表現し、蓄え、瞬間的にそれを再構成できるしくみがあるはずです(それは可能でしょうか?)。数ヶ月単位で情報が保持されるとすれば、その原因は脳内の物質的な変化に帰属する必要があります。
◆わずかな経験が、長期に影響を持ち続ける事実を、参加者自身が集計し実感することで、日常の学習に対する認識を変えることができます(「これから授業中に寝ないようにします!」)。
◆教育では、感覚を伴う経験や生の体験が重視されることがあります。その理論的基盤を提供することになります。創造的思考の源泉や、言語とはいったい何なのかに新たな示唆を与えます。

<公開実験の説明会>
日時:平成21年12月3日 18:00~(1時間30分ほどを予定)
場所:教育学部講義棟5206室
内容:実験手続き、取材していただく場合はその方法についての相談

【プレスリリース連絡先】
<お問合せ先>
岡山大学 大学院教育学研究科 教授 寺澤孝文
マイクロステップ研究会:坂本清美(09022857381)