【プレスリリース概要】
愛媛大学との産学共同事業で【古材】の２酸化炭素の量が計測されています。古民家から算出される「古材」は炭素が多く含まれます。築６０年の古民家を廃棄すると
ぶな約１３００本分の２酸化炭素の量に匹敵する計算になります。環境の為にも「古民家」を大事にしたいものです。

【プレスリリース内容】
現在の「カーボンニュートラル」という言葉の解釈では木材などを燃焼させた場合の二酸化炭素は排出量には計算されないとなっています。これは、木を燃やすときに出る二酸化炭素は元々その木が大気中にあった二酸化炭素を自らの材料として固定したものと考えられていますので、燃やして二酸化炭素が出たとしても、大気中にもともとあったものが戻るだけなので±0という考え方で、対して化石燃料は遙か昔の二酸化炭素を固定したものなので、少なくともここ最近の大気を固定したものではなく、燃やして出た二酸化炭素は大気中の二酸化炭素を増やすこととなりプラスとなってしまうという理屈です。正しいようにも思えますが、だからと言って木を燃やしてもいいという論理には結びつかないと思います。木を燃やすと大気中に二酸化炭素が増えるのは変わらないからです。
「樹」（木）は光合成により、二酸化炭素を吸収し、酸素を排出します。「樹」は建築資材として伐採され、「木」となります。その段階で光合成は行われなくなり、「木」には吸収した二酸化炭素を炭素として蓄積しています。木を形作っている成分とは炭素と水素が大量に組み合わさった、セルロースという物質なのです。
愛媛大学農学部　森林資源利用システム　杉森准教授と行っている共同研究による試算では、例えば築60年の古民家から出た古材の松の梁材の調査結果によると、平均含水率は15.7%（気乾状態、細胞膜に大気中では乾燥しない若干の水を残した状態で建築材料としてはベストなコンディションです）で炭素量の平均は0.230ｇ／ｃｍ3でした。複数のサンプルを調べて平均して１立米あたり230kgの炭素を含んでいると古材倉庫本部では結論付けています。
古民家解体時に測定した古民家の構造材、化粧材などに使われている木材量のデーターと合わせて、古民家に含まれる炭素量並びに二酸化炭素量を計算し、ユーザーにより分かりやすい形でブナの木の二酸化炭素吸収量を用いてブナの木何本分の二酸化炭素削減量になるかを、厚生労働省認可財団法人職業技能振興会認定【古民家鑑定士】の行う古民家鑑定書、古材の買取証明書並びに古材を使っていただいた際に出している古材の保証書に5月1日より記載を開始いたしました。（ブナの木の二酸化炭素吸収量については独立行政法人 森林総合研究所の試算数値を参考にしております）ブナの木は1年間に11ｋｇという二酸化炭素を吸収しています。ちなみにガソリンは１ℓで 約2.3㎏の二酸化炭素を排出するそうです。

一般的に「古材」は築60年以上の建築された住宅から排出されたものと私どもでは定義しており、総務省統計局　政策統括官の平成20年度データーによると昭和25年以前に建築された木造住宅は、現在約1,493,400棟残されています。
これを二酸化炭素の保有量に換算すると、「ブナ」の木1,941,966,666本分(194,196万本分）分の1年間の二酸化炭素吸収量と同じです。

「古民家」を解体して廃棄するより、解体することになっても「古材」を伝統資財として再活用することは、環境にいいことは数字の上からも明らかになっています。 新築住宅を建て、太陽光発電や高気密・高断熱住宅なら、特に夏・冬の期間など少ないエネルギーで、二酸化炭素削減となりますから

省エネ＝二酸化炭素削減

となります。しかし、新築住宅を『建築する』ということは、二酸化炭素を排出してしまいます。建築現場まで資材を輸送するトラックや新しい設備機器を作るのに工場を稼働させなければなりません。全国地球温暖化防止活動推進センター２００７年webサイトによると、1世帯当たり1年間の二酸化炭素排出量は　約5,350㎏　だそうです。そのうち、冷暖房・給湯・厨房・照明等家電製品での排出が65％にのぼります。木のまち・木のいえ整備促進事業（長期優良住宅）や住宅版エコポイント制度などが、政府の政策として大規模に予算をかけ施行されていますが、それに加えて

循環型建築資材＝伝統資財

を活用することが本当の【環境に優しい住宅】になるのではないでしょうか。


このデーター等は、平成２２年６月２０日に東洋書店から「古材という選択」（仮題）という書籍で発表されることになります。

【プレスリリース連絡先】
一般社団法人　２００年住宅再生ネットワーク機構　理事長

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