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飲食業/食品関連業 IWSR Japan 2016年01月18日


【プレスリリース概要】
IWSRスピリッツブランドランキング2014では、世界的なスピリッツブランド142銘柄の2014年のブランド力のランキングを発表した。ヘネシーブランドが2014年のブランドランキングの首位に、2013年に首位であったジョニーウォーカーは31位へと後退した。

本プレスリリースでは、本調査を通じてのトップブランドへの考察ならびにそれ以外に注目するべき数ブランドに関しての考察を加えております。

【プレスリリース内容】
IWSRスピリッツブランドランキング2014: TOP5

1位 ヘネシー/Hennessy
2位 ジャックダニエル/Jack Daniel’s
3位 ジェムソン/Jameson
4位 グレイグース/Grey Goose
5位 ジンビーム/Jim Beam


Moët Hennessy USA社のCEO・Jim Clerkin氏はインタビューで、ヘネシーの米国での成功はフィリピン人ボクサー、マニー・パッキャオ 氏を起用した「Never Stop, Never Settle」というコマーシャルが奏功しするなど広告費を効果的、積極的に投じたことを要因の一つして挙げた。

一方で、ヘネシーの主要市場の1つである中国は、いわゆる「顕示的消費」に対する当局の規制が足かせとなり販売数が低迷した。もう1つの主要市場であるロシアは、不景気に見舞われたため売上が落ちた。それでもヘネシーは2014年に全世界の販売総数520万ケースという目を見張る数字を叩き出し、800ドル弱/ケースという平均価格で販売量3%の成長率を見せた。

この業績を大きく後押ししたのは米国市場でのパフォーマンスであり、2014年の販売数は250万ケースで、前年比10%弱増加した。南アフリカ、ナイジェリア、また旅行者向け販売店(免税店など)も高い成長率を見せた。これらの素晴らしいパフォーマンスで、2014年の中国における約21%の下落が相殺されている。

追随するジャックダニエル。テネシーハニー、テネシーファイアなどの革新的な商品で新たな市場の開拓に成功


2014年のランキングで2位となったジャックダニエルは、米国におけるウイスキー業界の復活の波に乗っている。テネシーハニー(Tennessee Honey)やシナモンの香りをつけたテネシーファイア(Tennessee Fire)などの革新的な商品の成功で、従来の消費者以外、つまり女性や飲酒を始めたばかりの消費者を取り込んでいる。またジェントルマンジャック(Gentleman Jack) やシングルバレル(Single Barrel)といったハイエンドのラインアップの商品も加え、これらも成功している。

ジャックダニエル を製造販売するブラウンフォーマン社(Brown-Forman) は6月の2015会計年度決算発表で、テネシーハニー、ジェントルマンジャック、シングルバレル の3ブランドの全世界での合計販売数が200万ケースという大きな目標を達成したと発表した。

ジャックダニエルの米国以外の市場でのパフォーマンスも同様に目覚ましい。現在全世界の売上高のうち56%が米国以外から上がっているが、10年前は46%であった。イギリスは2010年に第2の100万ケース市場となり、フランスは2014年には前年比18%増加し、現在3位につけている。ジャックダニエルはまた、ポーランド、ロシア、メキシコ、ブラジル、南アフリカ、トルコなどの広範囲に渡る新興市場で、1桁台後半から2桁台の伸び率を見せている。成熟市場、新興市場ともに、今までの普及率を見た場合ジャックダニエルは市場での成長の伸びしろをいまだ期待できる。

ジェムソンもジャックダニエルに劣らずの国際的な成長の可能性は計り知れないほど大きい

この度のブランドランキングで3位に入ったジェムソンも今後の成長が更に見込まれる条件が揃っている。この傾向はジェムソンに限らずその他の有名アイリッシュウイスキーにも同様なことが言える。

ジェムソンは2014年に米国、ロシア、南アフリカ、イギリスの4大主要市場において1桁台後半から2桁台の成長率を見せた。

ペルノ・リカール社/Pernod Ricard のCEO・Alex Ricard氏は2014年 のキャピタルマーケットデーでのプレゼンテーションでこのように意気込みを語った。1年後の今、Ricard氏が言ったことに矛盾がなかったことが分かる。
昨年米国で販売数が200万ケースを突破したジェムションは、米国市場における勢いのあるブランドの1つとなっている。ジェムソンはジャックダニエル、ジムビーム、クラウンローヤルなどの北米の大型ウイスキーブランドと比べると比較的小規模であるが、それゆえ成長の余地はまだまだあるということである。

「2020年までにジェムソンは世界中で知られるブランドとなり、売上高も10億ユーロ(13億6,000万ドル)に達成するだろう。これは現在の売上高の2倍に相当する。ジェムソンは、特にミレニアル世代(’80年代から’00年代初頭に生まれた世代)という若いグループの取り込みに成功している。」

ジョニーウォーカーの「歩く男」はつまずいてしまったのか?:スコッチウイスキーの全体的な低迷

IWSRのワールドクラスブランドランキング は世界的なトレンドを究極的に反映している。新興市場の経済の低迷はスコッチカテゴリーに負の影響を及ぼした(2014年は1.3%のマイナス成長)。2013年のブランドランキングで1位であった世界的な大型ブランド、ジョニーウォーカー/Johnnie Walkerはランキングで急落している。
また 40ブランドものスコッチウイスキーブランドが142の候補に入ったにもかかわらず、上位10位入りしたスコッチウイスキーは1つもなかった。アイリッシュウイスキーの米国での売上増加が少なからずスコッチウイスキー低迷の背景にあるかもしれない。

2013年には1位だったジョニーウォーカーの急落は特筆すべき事態である。近年のスピリッツ業界において最も大きな成功を収めたブランドの1つであるジョニーウォーカーは、’90年代後半にブランドが刷新され、2002年頃から急激な成長を見せてきた。そして2013年には、地理的な拡大とプレミアム感がうまく相まってジョニーウォーカーはランキングで1位にまで登りつめた。

新興市場でのつまずきを相殺できなかったジョニーウォーカー

ジョニーウォーカーは新興市場と歩調を合わせて成長してきたとも言える。2011年にはブラジルでの売上高が米国を抜きNo.1になっている。また売上上位10カ国のうち 7カ国が途上国である。ジョニーウォーカーはまた、旅行者向け販売において200万ケース以上を売り上げ、他のブランドの追随を許さなかった。しかし、2014年新興市場で、あの有名な「歩く男」はつまずいてしまった。

新興市場での販売量が前年比で1.7%減の1,880万ケースと落ち込んでしまった。ブラジルは前年比7%減、タイは前年比25%減、また米国、豪州、ポーランドでも売上減を喫した。一方メキシコ、南アフリカ、インドでは売上が増加したが、他の国での落ち込みを相殺できるレベルではなかった。このため、基準が極めて厳しいワールドクラスブランドのランキングにおいてジョニーウォーカーは、前年1 位から2014年は34位にまで急落している。


成長戦略ファクターと成功要因として重要なキーワード:地域戦略とミレニアル世代の取り込み

さて、スピリッツ業界にとってブランド力成長のために注力をしなければいけないいくつかの要素が明らかになった。ひとつは米国市場、新興市場などの地域戦略、そして新しくアルコールを飲み始める若年層、ミレニアル世代である。

米国市場が収益性と影響力において最重要であるということに疑いの余地はない。ブランドやトレンドはたびたび米国から始まり世界中に広がっている。米国にはイノベーションが生まれ育つ土壌があるのだ。2014年の米国の上位20位のブランドのうち10ブランドは、20年前には存在すらしていなかったことに驚かずにはいられない。このことはある意味で米国の消費者マインドを反映していると言える。

一方で新興市場戦略はそれぞれのブランドで温度差がでた。ヘネシーのように南アフリカ、ナイジェリアでの売上の伸びが低迷した中国での数値を相殺する場合もある一方で、ジョニーウォーカーやシーバスリーガルのように中国市場のマイナスをほかの市場で補うことが出来ず大きくブランドランキングを下げたメジャーブランドも ある。スピリッツのメジャーブランド成功のための戦略で高い評価を世界で得るためにはこれら新興市場での成功はもはや必須の課題とも言える。

あたらしい自分好みのブランドを開拓するミレニアル世代が市場において更に影響力を増す

今日の消費者、特にミレニアル世代と呼ばれる若者は、新しいものをトライしたい、新しい味やブランドを発見したい、全ての商品を試したいというマインドを持っている。さらに、ミレニアル世代は親世代が飲んでいたものではなく、自分で新しいブランドを開拓する。こうして、新世代が開拓したブランドの中から、国際的な存在感、規模、販売量の伸び率や価格決定力などで勝ち残る世界ブランドと言えるブランドが生まれていく。

Sazerac社のFireballはランク外からいきなり10位にランクインしたが、このように急な伸びを見せたブランドはあまりないだろう。Fireballはシナモン風味の甘いウイスキーリキュールで、2014年の売上高は約420万ケースとされる。Fireballはショットでの飲み方がポピュラーであるため、


Sazerac社は「天国のような味、地獄のようにスパイシー」というFireballのキャッチフレーズを掲げ、バーなどの店舗内キャンペーンを展開してきた。
そこでは、デジタルメディアを使い熱狂的なFireballファン同士を繋ぐという、一般消費者参加型の非常に革新的なマーケティングキャンペーンが展開された。アルコール度数が比較的低いということ(33%)と、その甘さが人気となって、男女問わずファンがついた。Fireballの世界的な販売数はまだまだ低いが、近年イギリスやその他多数の市場でも販売数を伸ばしている。


プレスリリース出典(日本語)
ヘネシーが首位に、2013年トップのジョニーウォーカーは31位に後退:2014スピリッツブランディング調査結果
http://theiwsr.jp/iwsr_magazne/world-class-brands/

-----以上------

IWSRでは毎年スピリッツの全世界でのブランドランキングを実施しております。このランキングはIWSR社の月刊誌IWSR9月号にて発表されており、本プレスリリースでは、IWSR社の調査内容に基づき発表された記事 「World Class Brands feel US influence」を翻訳し、 世界のトップブランドを中心に記事を再構成編集し発表致しております。

なお、全142銘柄のランキング、および方法論に関しての詳細はIWSR Japan、担当前田(seigo@theiwsr.com)までお問い合わせください。

【プレスリリース連絡先】
IWSR Japan
前田静吾
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080-9159-1217